まさか乳がん? 女性化乳房はそんな勘違いから発覚することも
胸にしこりを感じて乳腺外科を受診する男性患者さんは少なくありません。もちろん、乳がんを心配してのことです。こうした場合、検査の結果、幸いにも多くのケースでは乳がんが否定されます。実際は、女性化乳房だったということがほとんどなのです。「胸のしこり=乳がん」というイメージが広く認知されていることがうかがえます。
ただ、私たち医療に携わる者としては、こうした患者さんを好意的に思っています。例え取り越し苦労だったとしても、万一のことを考えて検査を受けておくことは、とても良いことだからです。
男性の乳がんの特徴と、女性化乳房との違い
男性の場合、女性に比べて乳腺が小さく皮下脂肪も少ないことから、がんが皮膚や筋膜に浸潤しやすいと考えられています。このため、女性の乳癌に比べて、発見時にすでに進行していることが多いのも特徴です。
女性化乳房との違いは、乳がんの場合痛みを伴うことは稀で、時に乳頭が盛り上がったり、変形が認められることです。また、60代以上の比較的高齢の方に多く見受けられます。
とは言え、これはあくまで統計上の話。当てはまらないからと言って安心してしまうのは危険です。女性化乳房の治療を行う前には、念のため、乳がんの可能性をしっかり否定しておくことが重要だと考えています。
当院では、女性化乳房と乳がんの一次鑑別を実施
当院では、女性化乳房の治療前に乳腺専用エコー「エラストグラフィ」で検査を行います。その理由は3つ。まず、女性化乳房の原因が脂肪によるものか、乳腺の発達によるものかを鑑別し、脂肪や乳腺の量(大きさ)と、その位置を正確に把握するためです。そしてもう一つは、真性女性化乳房で感じる「しこり」が発達した乳腺自体の硬さによるものか、悪性腫瘍によるものかを判断するためです。
この検査の結果、万一異変が認められたときは、速やかに専門の医療機関をご紹介します。キレイでカッコいい見た目は、健康であって初めて意味を持ちますよね。不安を取り除き、安心して施術を受けていただけるよう、私たちは万全の態勢でみなさんをお待ちしています。
- 知恵まとめ
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- 女性化乳房の症状は乳がんの初期症状に似たところがある
- 女性化乳房の治療を行う前には、念のため乳がんの可能性を否定しておきたい
- 当院では、女性化乳房の治療前には乳腺専用エコーで検査を実施